「Sudovian Dance」素数を美しく割る
どうやらミュージシャンには素数好きな人が多いようで、5拍子、7拍子、11拍子など、素数拍子の面白い曲を作る人がたくさんいる。
今日は13拍子の美しい曲「Sudovian Dance」を読み解いて、素数を音楽的にキレイにわりきる方法を考えてみたい。
13拍子を割る
この曲は主に4分の13拍子でできている。
4分の13拍子は、1小節の中に四分音符が13コ、八分音符が26コ入っている。
「Sudovian Dance」のリズムは、この26コの八分音符を26=7+6+7+6に分けている。
*イントロ(下段は実際の音ではなく、拍数をわかりやすくするために入れてある)
26=7+6+7+6に分けると、(7+6)+(7+6)という大きな二つのグループに分けることができる。
このように13拍子を大きな2拍子のように捉え、1拍目と7拍目のウラにアクセントをつけることで、音楽的に素数を割ることができる。
*イントロ別フレーズ
このフレーズの方がキレイに8分音符13コ分のフレーズが繰り返されていて、13拍子が等分されているのがはっきりわかる。
*テーマ
テーマのメロディは、イントロとは逆に(7+6)+(7+6)の切れ目をつないで等分感(そんな言葉ないか)を消している。
13拍子を割る(7+6)+(7+6)のリズムと、それをつなぐメロディが合わさって、聴く側はもうなんだか迷子になってしまう。
迷子にさせる曲を作りたい時には、「素数を割りきるリズム」と「つなぐメロディ」を共存させるといいのかも!
7拍子は割らない
メロディはこのまま、新たな素数7の世界に入る。
でもただの7拍子じゃなくて、八分音符14コを14=5+4+5にグルーピングしたクセのある7拍子。
どうしてミュージシャンはこんなにもひねくれているんだ!と思っちゃうど、なぜだかひねくれている方が美しい。
ちなみに7拍子を割り切りたい場合は、八分音符14コを14=(4+3)+(4+3)や
14=(2+5)+(2+5)などで割り切ることができる。
10拍子は割り切れない?!
しばらく7拍子の上を漂ってから、今度は素数ではない偶数の10拍子に移る。
偶数だ!わーい簡単に割り切れる!と思ったら大間違い。
10拍子の八分音符20コを20=7+6+7にグルーピング。
割り切れるはずの10拍子なのに、7+6+7のグルーピングのせいで等分できなくなってしまった。
でもこのグルーピング、13拍子(26=7+6+7+6)に戻るにはピッタリ。
びっくりするくらい計算されていて、音楽と同じくらい数字の並びが美しい!
このピアノストMarcin Wasilewskiは「Night Train To You」という11拍子の曲(3+3+3+2)も書いていて、「素数チャレンジ」をしているんじゃないかという気さえしてくる。
ぜひ次の素数、17拍子もやってほしい。
それにしても、割り切れないものを割ったり、割り切れるものを割り切れないようにしたり、ミュージシャンというのはなんでこんなにも素直じゃない天邪鬼ちゃんなのだろうか?
いや、きっともっと面白いものをつくりたいんだろうな。
じっさい、面白くて美しい!
この曲を聴いていると、こんなにも美しく素数を音楽的に割り切って演奏できるのかと、毎回感心してしまう。
(ライブなので少しフレーズがちがうけど、もちろん美しい!テーマは3:33~)
オマケ
Takadimiというインドのリズムのシステムがあって、こういう拍子の曲の時にとっても便利。
いろんな言い方があるみたいだけど、私が習ったのはこんな感じ。
2=ta-ki(タキ)
3=ta-ki-da(タキダ)
4=ta-ka-di-mi(タカディミ)
5=ta-di-ki-na-thom(タディキナトゥ)
6=ta-ki-da-ta-ki-da /or/ ta-va-ki-di-da-ma(タキダタキダ / タヴァキディダマ)
7=ta-va-ki-di-da-ma-ti(タヴァキディダマティ)
使い方はこんな感じ。
・13拍子:7+6+7+6=「タヴァキディダマティ・タキダタキダ・タヴァキディダマティ・タキダタキダ」
・7拍子:5+4+5=「タディキナトゥ・タカディミ・タディキナトゥ」
・10拍子:7+6+7=「タヴァキディダマティ・タキダタキダ・タヴァキディダマティ」
暑くて寝苦しい夜に、「Sudovian Dance」を聴きながらぜひ「タヴァキディダマティ・タキダタキダ・タヴァキディダマティ・タキダタキダ」と唱えてみてください!
(ここ最近毎晩そうしていますが、数え疲れて寝れます)
Enjoy and stay safe!!