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音楽をもっと自由に 〜音楽理論や作曲のこと〜

メジャーモードのコードと特徴と色 

前回もサラッと書いたけど、モードにはそれぞれ違ったカラーがあって、どれ1つとして同じものはない。

種類が多いので、何のスケールの何番目っていうのを覚えておくと頭の中が整理できるのでオススメ。メジャースケールの3番目みたいな感じに。(英語では”3rd mode of the major scale”)

 

また、モードにはそれぞれのモードを表すコードや特徴的な音がある。

今回はメジャースケールのモードを、コードと特徴的な音と一緒に書いていく。

 

1番目:アイオニアン(Ionian)

 

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音符の間に書いてある、「W」と「H」はそれぞれの音程を表していて、全音=W(whole step)、半音=H(half step)を意味している。

音符の下に書いてある数字は「Scale formula」と呼ばれるもので、直訳すると「スケールの数式?公式?」みたいな意味。

アイオニアンは、全音と半音が[ W W H W W W H]の順で並んでいて、この並びを数字に置きかえると、[ 1234567 ]と表すことができる。

ちなみに、この数字に#や♭が一個も付かないのはこのアイオニアンだけ。Scale formulaを用いて数字でスケールやモードを考える時の基準になるので、アイオニアン=[ 1234567 ](#や♭一個もなし!)と覚えておきたい。

 

<コードの種類>

・△7 / メジャーセブンス(青い◯がコードトーン)

*このコードの種類は、「このモードを使えるコード」と考えてOK!

 

<特徴的な音>

・4度(赤い◯)

アイオニアンは、おそらく一番聞き慣れたモードだと思う。メジャーの曲の大部分がアイオニアンで作られている、と言ってもいいんじゃないかな、きっと。特徴的な音は4度なんだけど、△7に対して4度の音はアヴォイドノート(音が濁るので避けた方がいい音)なので、4度を使う時はハーモニーに影響が出ないように、短い音符にするなどの注意が必要!

 

2番目:ドリアン(Dorian)

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<コードの種類>

・m7 / マイナーセブンス

 

<特徴的な音>

・6度

ドリアンは、マイナーセブンスだけど、明るくも暗くも聴こえる中性的なモード。その鍵になるのがナチュラル6度。ドリアンらしさを出したいときには、6度の音を強調するのがオススメ!個人的には、メジャーの中で一番好きなモード。ドリアンは、一般的にもよく使われる人気者。

(有名なのは「Scarborough Fair」や、「Eleanor Rigby」など)

 

3番目:フリジアン(Phrygian)

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<コードの種類>

・m7 / マイナーセブンス

 

<特徴的な音>

・♭2度

ドリアンと同じくマイナーセブンスのモード。本来であれば3度マイナーの時に使われて当然のモード(3度マイナー = Em7 in C)だが、3度マイナーの時にはドリアンがの方が合うという考えが主流になって、ドリアンに出番を奪われることの多い不運なモード。♭2度をもつフリジアンは、ちょっぴりエキゾチックで魅力的なモードだ。ドリアンもいいけど、ちょっと違った雰囲気にしたい時にはぜひフリジアンを!

 

4番目:リディアン(Lydian)

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<コードの種類>

・△7 / メジャーセブンス

 

<特徴的な音>

・#4度(#11)

アイオニアンと同じくメジャーセブンスのモード。アイオニアンと違うのは、4度→#4度になっているとこ。#4度(#11)は、メジャーセブンスに対してアヴォイドノートではないから、使い勝手も非常にGood。△7を見つけたら、とにかくリディアンにしちゃってもいいくらい、いつでもいい感じに仕上げてくれる優れもの。優れもーど。(ジムノペディとか、紅の豚テーマソングもリディアンが多く使われている)

 

5番目:ミクソリディアン(Mixolydian)

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<コードの種類>

・7 / ドミナントセブンス

 

<特徴的な音>

・7度

メジャースケール唯一のドミナントセブンスのモード。コードトーンと重なっちゃたけど、♭7度が特徴的な音。メジャーモードの中には、ドミナントセブンスのモードはミクソリディアンしかないけど、メロディックマイナーには3種類もあるし、他のスケールにもまだまだある。その中でも、ミクソリディアンは♭7以外#も♭もついていない、一番ノーマルなドミナントセブンスのモード。他のモードは、#や♭が多くてクセが強いけど、ミクソリディアンは一番素直。素直すぎて面白くないと思うちょっとひねくれた方には、メロディックマイナー、ハーモニックマイナーのモードをやるまで待っていただこう。

 

6番目:エオリアン(Aeolian)

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<コードの種類>

・m7 / マイナーセブンス

 

<特徴的な音>

・♭6度

ドリアンやフリジアンと同じくマイナーセブンスのモード。ドリアンによく似ているが、6度→♭6度になっているので、ドリアンよりも暗く聴こえる。中性的なドリアンよりも、トーンを暗くしたい時にはエオリアンがオススメ。「ナチュラルマイナー」とも呼ばれていて、マイナーの代表格のようにも思われているくらい有名でよく使われている。(ラピュタの「君をのせて」とか、「もののけ姫」の曲もほとんどがエオリアンでできている)

 

7番目:ロクリアン(Locrian) 

 

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<コードの種類>

・m7♭5 / マイナーセブンス

 

<特徴的な音>

・♭2度、♭5度

 マイナーセブンスフラットフィフスというコードの、一番トリッキーなモード。トリッキーさゆえなのか、どうも人気がない。人気がないどころか、狂気じみたサイコパスのようにさえ思われている。気の毒なロクリアンは、ただでさえ出番が少ないのに、ロクリアンナチュラル2の進出によってすっかり影をひそめてしまった。ロクリアンナチュラル2もいいんだけど、ひっそりと出番を待っているロクリアンを忘れずにいたい。(ロクリアンナチュラル2に関する過去の記事

 

 メジャモードの彩度 or 明度

以上の7つのモードは、それぞれ違う色を持っている。音の色や、暗いとか明るいとかは、人によって感じ方が違うけど、音楽理論的には(ザックリ言うと)#=明るい、♭=暗いとされている。♭が多いければ多いほどより暗くなる。今回はわかりやすく、明るい=暖色、暗い=寒色として、7つのモードを#の多い方から♭の多い順に並べてみる。

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並べてみると、同じコードでも明るさに違いがあるのがわかる。たとえば、同じ△7でも、アイオニアンよりリディアンの方が明るいし、同じようにm7の中でもフリジアンが一番暗い。その時々で、どんな色にしたいかによって、それぞれのモードを使い分けることができる。

 

ドリアンはマイナーコードの中で一番明るく、この明るさランキングのちょうど真ん中に位置している。ドリアンが、メジャーにもマイナーにも聴こえる中性的な感じがするのは、明暗のちょうど真ん中にあるからだろう。

 

もし今まで、△7=赤、m7=黄色、というふうに一色だけを使っていたのなら、ぜひ他の色も試してみてほしい。きっと、今までとはちがうフレーズやメロディーに出会えるはず。そして、ロクリアンを、ロクリアンを恐れずに、どうか仲良くなってほしい!

 

(メジャーモード一覧はここからダウンロードできます)