音のテクスチャー Federico Mompou
テクスチャー
テクスチャーを辞書で引くと、生地、手触り、感触、質感などが出てくる。
それだけ聞くと音楽とは何も関係がなさそうだけど、「テクスチャー(Texture)」という言葉は音楽をやっていると、意外とよく耳にする。
例えば「もっとピアノらしいテクスチャーをストックしておいた方がいい」とか、そん感じによく聞くフレーズだ。
音のテクスチャー
たとえば服を作るとか、何か手で触れるものを作る場合の「テクスチャー」は辞書通りの意味でわかるけれど、音になるといまいちピンと来ないと思う。
でも音にも質感があると思いませんか?
たとえば高音域で弾くとキラキラした感じがしたり、低音域で弾くともっと温かみが増したり。(あくまで個人的な見解だけども・・)
音は手で触れないし見ることもできないけど、質感のようなものは存在するはずだ。
コットンやメタルや木だって、どうにかすれば弾けるかもしれない!
音のテクスチャーとは、そういったいろんな質感を出すフレーズだと私は思っている。
テクスチャーの作り方
①気になるフレーズをさがす
とは言っても、実体のないものをどうやって作ればいいのかわからない。
そんな時私は、自分の好きな作曲家や曲の印象的なフレーズを借りてくる。
今日はフェデリコ・モンポウ(Federico Mompou)先生の曲を参考にしてみる。
Suburbisの1番、動画の2:19あたり。
低音域から高音域に駆け上がるフレーズ、これを今日の「テクスチャー」にしようと思う。
このフレーズはとてもピアノらしくインパクトもあって華やかなのに、右手と左手を交互に弾くのでそんなに難しくない。
左手と右手を交互に弾きながら、オクターブ上の全く同じ音を弾いている。
ちょっと試してみるとわかるけど、本当にそんなに難しくない。
②自分の好きな音に置き換える
構造が分かったら、次は自分の好きな音にかえてみる。
好きなコードでもスケールでも、なんでもOK。
ただ肝心なのは、自分が弾きやすい事。
これが意外と難しかったりする。
私が置き換えたのはこんな感じ。
コードとしてはA♭m7
左手が3音、右手が4音で構造は全く一緒。
これでオリジナルテクスチャーが1つ完成。
簡単に弾ける割にはゴージャスに聞こえるので、Am♭7の時にオススメ。
③構造を少し変える
さらに発展させたい場合は、音だけでなく構造自体も少し変えてみる。
たとえば音の数を変えてみる。
これは左手も右手も3音づつで、コードはC7♭9#11。
もっと簡単に言うとCトライド(3和音)の上にF#トライアドを乗せたものだ。
コード感がはっきりしているので、使いやすいと思う。
④もっともっと構造を変える
さらにさらに発展させたい場合は、さらにさらに構造を変えてみよう。
音数を左手2音右手3音に変え、右手を固定したまま左手に動きを出してみた。
次は逆に左手を固定し右手に動きを出してみた。
このままでも十分曲になりそうな効果的な「テクスチャー」ができたと思う。
たったこれだけの作業でも幾つかのテクスチャーを作る事ができる。
次の作曲や演奏などの機会に、ぜひ「自分のテクスチャー」を織り交ぜてさらにカラフルな曲にしてみて下さい!