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音楽をもっと自由に 〜音楽理論や作曲のこと〜

”不良の音楽”は本当に不良なのか

不良の音楽

 

私の若い頃には、まだかろうじてわかりやすいタイプの不良がいた。

リーゼントだとかモヒカンだとか、そういういかにも悪そうな不良が、いかにも悪そうに昼休みに校庭に集まってタバコを吸っている姿をよく目にした。

今の時代の不良は(という言葉がもうすでに死語だけども)ハーレイ・クインみたいにスタイリッシュでぶっ飛んじゃってるのかもしれないけれど、どんな音楽を聴いているんだろう?

今でも、尾崎豊を人生のバイブルのように聴いたりするんだろうか。

”不良の音楽”で検索すると、尾崎豊先生をはじめとしてブルーハーツやボウイ、ビートルズ、ざっくりとジャンルでジャズやヒップホップなどがあがった。

(関連ワードに”体調不良音楽”というのがあって、そちらも非常に気になったが、体調不良になる音楽ではなく体調不良の時のための音楽だった)

どれも間違いなく不良っぽいが、一体何が不良っぽいのだろう?

 

音楽的不良のタイプ

 

私なりに不良音楽をタイプ分けしてみたところ、だいたい以下の4つに分類できるような気がする。

・自由になりたいー!縛られたくない!!「メッセージ型不良」

・鼓膜なんか気にしない!?「音量型不良」

・速すぎてもはや痙攣レベル!?「スピード型不良」

・ダイアトニックなんて3歳の時に捨てたゼ!!「ハーモニー型不良」

(あと「リズム的不良」っていうのもいるけど、これは私の中では”変態”のカテゴリーに入っている)

 

どれも非常に悪そうだが、世の中では圧倒的に「メッセージ型不良」の割合が多いように思える。

もちろん複合型も多いと思うが、尾崎先生はもちろんのこと、ブルーハーツやボウイも、見えない自由が欲しくて見えない銃を撃ちまくったり、足にからまった 鎖切り裂いて自由になったりしているので立派な「メッセージ型不良」だと言える。

では、ハーモニーはどうだろう??

 

ハーモニー的成分表

 

 

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・99%ダイアトニックコード

(1%はこの支配からの〜の部分のクロマティックなパッシングコード)

 

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・95%のダイアトニックコードと5%の6度セブン(VI7)

 

 

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・90%のダイアトニックコードと10%の2度セブン(II7)

 (数字はあくまで目安程度)

 

大半をダイアトニックコードが占めているのがわかると思うが、ハーモーニーという観点から見ると我らの尾崎先生もブルーハーツもボウイですら、不良どころか超優等生なのだ。

 

 

一方ピシッと横分けに黒縁メガネの超真面目そうに見えるBill Evansは・・・

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(数字は小節数から割り出しているのでめっちゃ正確!)

不良だ。アメリカ的にいうとギャングだ。ハーモニー的にとてもギャングだ。

おそらく、もうだいぶいい歳だけれどもDave LiebmanやSteve Swallowなんかもこのカテゴリーではとんだギャングだ。

もう極悪だ。

 

行儀よく真面目なんてできやしないミュージシャンへ

 

これは、ノンダイアトニックコードが多ければ良いとか、少ないから悪いとかいう事ではない。

ノンダイアトニックコードが1つもなくたって、それをカバーしてもまだ余る程メッセージ性が強く人々を惹きつける音楽が世の中にはたくさんある。

ただ、私は言いたい。

もし、あなたがダイアトニックコードに縛られたくたくないと感じていたら、すぐにでも自由になってほしい。

でも、どうやって?どうやってノンダイアトニックコード使えば良いの?正しい使い方は?と聞かれることがあるけれど、、、

好きなように使えば良い!!自分の弾きたいように、聴きたいようにやればいい!!

 

たぶん誰も、夜の校舎で窓ガラス壊してまわるのに前もって正しい壊し方とか調べて行かないし、そもそも盗んだバイクで走り出した時点で正しくない。

あなたはもう立派な不良(音楽的に)だから、まずはやってみよう。

好きなように自分の耳が良いと思う音を探してみよう。

そうすればきっと自分のルールや、自分のコード進行が出来上がってくる。

残念ながらハーモニーは不良音楽の中で見落とされがちだけど、私は言いたい。

この(ダイアトニックの)支配から卒業だ!

 

 

*全て音楽の話です。不良行為、犯罪行為を推奨するものではございません。