「Let It Be」と「Let It Go」の共通点から、ダイアトニックとノンダイアトニックコードの裏切りついて
「Let It Be」と「Let It Go」の共通点
たとえばビートルズの「Let It Be」の歌い出し
”When I find myself in times of trouble, Mother Mary comes to me ~ ”
何年か前に大ヒットしたアナと雪の女王の「Let It Go」のサビ
”ありのままの 姿見せるのよー”
この二つのフレーズを思い浮かべてみて、何か共通点に気付くだろうか?
この二つの曲のはタイトルが似ているだけじゃなくて、実はコード進行もとっても似ている。(比較のためにどちらもKey: C)
C G Am F
”When I find myself in times of trouble, Mother Mary come to me ~ ”
C G Am F
”ありのままの 姿見せるのよー”
この部分に関しては全く同じコード進行。
同じ伴奏でどっちも歌えるし、
”ありのままの Mother Mary comes to me ~”
と歌う事もできる。(ありのままのMother Maryというのが気になるけど)
そしてこのコード全てダイアトニックコードなのだ。
ダイアトニックコード
ダイアトニックコードというのは、知っている人も多いかもしれないけど、スケールの中の音だけで構成されている和音の事。
たとえばCメジャースケールのダイアトニックコードはこうなる。
(クリックで拡大画像)
Triad(トライアド)というのは3和音という意味で、4和音にすると全て7thコードになる。
「Let It Be」は曲の最初から最後までこのダイアトニックコードだけでできている。
それ以外のコードは一つも出て来ない。
完璧にダイアトニック的な曲だ。
でも「Let It Go」の方はそうはいかない。
サビの部分に一箇所面白いポイントがある。
C G Am F
ありのままの 姿見せるのよー
C G Am F
ありのままの 自分になるのー
C G Am F
何も 怖くない
Em E♭ F
風よ 吹け 少しも寒くないわ
ノンダイアトニックコード
E♭のコードはCメジャースケールのダイアトニックコードの中にはない。
本来なら(ダイアトニック的には)ここはAm7に行くはずなのに、E♭。
そうすればもっとスムーズに聴きやすくなるのに、E♭。
この唐突に出てきた違和感さえ感じるE♭こそが、ダイアトニックの壁を越えたノンダイアトニックコード(non diatonic chords、非ダイアトニックコードとも呼ぶ)なのだ。
ダイアトニックコードとノンダイアトニックコードの特徴
いろんな曲のコードを見ると、「Let It Be」のようにダイアトニックコードだけでできている曲が山ほどある事に気づくと思う。
ダイアトニックという一つの同じ世界の中で成り立っているので、確実に聴きやすく期待を裏切らない。
ところがノンダイアトニックコードが入ると、曲に違和感やサプライズ感が出てきて、その数が多ければ多いほど聴きやすさから離れていってしまう。
でも私は、曲を聴きながら思いがけずノンダイアトニックコードに出くわすと、
”えーそっちなのー?!そっち行くのー?!”
といつも軽く裏切られた気持ちになって嬉しい。
予想してない事が起こるとなんかテンションが上がる!
「Let It Be」みたいにキレイで穏やかになれるような曲も大好きだけど、たまにはもっともっと裏切られるのも悪くない。
ノンダイアトニックコードを使って、みんなを少し裏切ってみてはいかがだろう?